なぜカラスは光るものを集めるの?意外と知らないその理由

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雑学

街中や公園で、カラスがキラキラ光るものをくわえているのを見たことはありませんか?「カラスって光るものが好きなんだ」と言われることもありますが、実際には少し違う理由があるんです。この記事では、カラスが光るものを集めるとされる理由や、その行動の背景にある“カラスの知能”についてやさしく解説します。


カラスの知能はとても高い!「興味」で拾うことも

カラスは鳥の中でも特に頭が良いことで知られています。その知能の高さは、研究によって人間の小学生ほどの知能を持つとも言われるほどで、単純な反射行動ではなく、学習・観察・応用を通じて状況判断ができる動物です。彼らは交通量を見極めて道路にクルミを落として車に割らせたり、仲間と役割分担して食べ物を得るなど、高度な社会性と記憶力を発揮します。そんなカラスにとって、光るものは“おもしろい”“未知の”対象なのです。単に「キラキラしてきれいだから好き」という感覚的な理由ではなく、「これは何?」「使えるかな?」という強い好奇心と観察欲が働いていると考えられます。

実際、観察記録によると、カラスはアルミホイルやガラスのかけら、銀色のペットボトルキャップ、硬貨などを見つけると、しばらく眺めたり、くちばしでつついたり、くわえて飛び立ったりします。中には木の枝や電柱の上に持っていって落としたり、隠したりする行動も確認されています。これは、人間でいうと子どもが気になるおもちゃを拾って確かめるようなもの。カラスにとって“珍しいもの・光るもの=気になるもの”であり、学びの対象であり遊びの道具でもあるのです。

また、カラスは非常に記憶力が良く、気になったものを覚えておき、あとで同じようなものを見つけると再び試すことがあります。つまり、光るものを拾う行動には、単なる好奇心だけでなく「経験から学ぶ」という要素も含まれています。観察し、記憶し、再び試す──まさに小さな研究者のような存在です。


実は「光るものを好む」は誤解?最新の研究では逆の結果も

昔から「カラスは光るものが好き」と言われてきましたが、最近の動物行動学の研究では、「むしろ光沢のある物体を避ける傾向がある」という結果も出ています。実験では、鏡のように反射する金属片とマットな質感の物体を並べて置いたところ、カラスは光る方を避ける、あるいは一度だけ確認してすぐに離れる行動を見せました。これは、光沢があるものが“危険なもの”や“捕食者の目のように見える”と感じる防衛反応の一種である可能性も示唆されています。

では、なぜ“光るものを集める”という印象が広まったのでしょう?それは、人間の目につきやすい行動だからです。カラスが光るものをくわえて飛ぶ姿はとても印象的で、偶然目撃した人の記憶に強く残ります。特に、太陽の光を反射する瞬間や、街灯の下で光をくわえている姿は目立つため、「カラス=光るもの好き」というイメージが広がったのです。また、古くからの民話やアニメ、絵本などで「カラスがキラキラを集める」という描写が繰り返されたことで、そのイメージが文化的に定着しました。

実際には、カラスは「光るかどうか」よりも、「珍しいか」「動くか」「音がするか」「においがあるか」といった五感を刺激するものに興味を持ちます。たとえば、アルミホイルが風に揺れて音を立てたり、瓶のフタが光を反射して動いたりすると、「これは何だろう?」と近づいて確認するのです。つまり、キラキラしたものは単に“目立つ存在”であるがゆえに拾われやすく、人間がその行動を見つけやすいというだけのこと。カラスにとって重要なのは“光”そのものではなく、珍しさや変化を察知して確かめる知的行動なのです。


集めたものをどうしてるの?カラスの“宝物”の秘密

では、カラスが拾った光るものはそのあとどうするのでしょうか?観察によると、巣に持ち帰って飾ったり、隠したりすることもあるようです。これにはいくつかの理由が考えられます。

1つは「安全な場所に持っていく」という本能的な行動です。カラスは新しいものや珍しいものを見つけると、自分のテリトリーに持ち帰ってじっくり観察する傾向があります。これは“確かめ行動”とも呼ばれ、未知のものを理解しようとする知的な行動の一つです。また、光るものを巣のまわりに置くことで、他のカラスや敵に対して“ここは自分の縄張りだ”と示している可能性もあります。鳥類の中には巣を飾る習性を持つ種類も多く、カラスもそれに近い行動をとっているのではないかと考えられています。

さらに、カラスの中には“遊び”として物を扱う個体もいます。光る石やボルト、ビーズのような小さなものをくわえて飛び回ったり、わざと落としてみたり、仲間に見せびらかしたりする様子が観察されています。これは単なる好奇心ではなく、社会性の高さや感情表現の一部とも考えられています。遊びの中で“これを見せたら相手がどう反応するか”を学び、仲間との関係性を築いているのです。

また、一部の研究では、カラスが光るものを巣に飾る行動は“求愛行動”の一種である可能性も指摘されています。オスが巣の周りに光るものを置いてメスにアピールする、いわば「プレゼント」のような役割を持つ場合があるというのです。これはクジャクが羽を広げるように、“自分の能力やセンスを示す”行為とも言えるでしょう。

このように、カラスが光るものを集める理由は単純ではありません。好奇心・学習・縄張り意識・社会性・求愛行動──そのどれもが複雑に絡み合っているのです。カラスは単なる鳥ではなく、感情を持ち、考え、学び、そして“遊ぶ”存在なのです。


まとめ

カラスが光るものを集めるのは、「好奇心」と「知能の高さ」が関係しています。実際には光るものが好きなのではなく、“珍しいものに興味を持つ”という知的な行動なのです。ときには巣に飾ったり、遊びに使ったりと、人間に通じるような一面も。カラスの行動を知ることで、彼らがどれほど賢く、豊かな感情を持っているかが見えてきますね。

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