秋になるとなんだかいつもより眠い…そんな経験、ありませんか?
季節の変わり目は体がだるく感じたり、朝起きるのがつらくなったりしますよね。実は、秋の眠気にはちゃんとした理由があるんです。この記事では、秋に眠くなる原因と、その対策をやさしく紹介します。
日照時間が減ると「眠くなるホルモン」が増える

秋になると、夏に比べて日照時間がぐっと短くなります。太陽の光を浴びる時間が減ることで、体のリズムを整える「セロトニン」というホルモンが減少します。このセロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれ、気分を明るくし、心を安定させる働きがあります。しかし、このセロトニンが少なくなると、気分が落ち込みやすくなったり、体が眠りやすいモードに入りやすくなるのです。
そして夜になると、セロトニンは「メラトニン」という眠りを誘うホルモンに変化します。秋は日光を浴びる時間が減る分、体内でメラトニンが分泌されるタイミングが早まり、**“まだ夜でもないのに眠い”**という感覚が起きやすくなります。つまり、日光を浴びる時間が短い=セロトニンが減る=メラトニンが増える=眠くなりやすいという自然な仕組みなんです。
さらに、朝起きたときにしっかり太陽の光を浴びないと、体内時計(サーカディアンリズム)がリセットされず、昼間でも眠気が続いてしまいます。光の刺激が足りないと、脳が「まだ夜かも」と勘違いして、覚醒モードに切り替わりにくくなるためです。特に曇りや雨の日が多い秋は、光の強さが夏の半分以下になることもあり、無意識のうちに眠気を感じやすくなります。
また、通勤や通学の時間帯も日照が減るため、朝の活動スイッチが入りづらくなります。朝起きたらカーテンを開けて自然光を取り入れたり、ベランダや玄関先に出て5〜10分ほど日光を浴びるだけでも、セロトニンの分泌が促されて眠気が軽くなります。光が届きにくい環境にいる場合は、光量の多いデスクライトや“光目覚まし時計”を活用するのも効果的です。
気温の変化で自律神経が乱れる

秋は朝晩の冷え込みと日中の暖かさの差が大きい季節です。人の体は常に体温を一定に保とうとするため、この急激な温度差に対応しようとして自律神経が乱れやすくなります。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、前者は活動モード、後者は休息モードをつかさどります。秋のように寒暖差が激しいと、この2つの神経が頻繁に切り替わり、体がうまく順応できずに疲労感や眠気、だるさが出てしまうのです。
さらに、秋は空気が乾燥し始め、気圧の変化も大きくなります。これにより血管が収縮しやすくなり、頭痛や肩こりなどの不調を感じる人も多くなります。これらの体調の乱れも、結果的に日中の集中力低下や眠気につながるのです。特に朝晩の気温差が10℃以上あるような日は、体が温度調整に追われ、自律神経のバランスを保つのが難しくなります。
また、涼しくなってくると体は「冬に備えてエネルギーをためよう」とするため、代謝がゆるやかになります。体温を保とうとする働きが強まる一方で、活動エネルギーを節約しようとするため、自然と体が休息モードに入りやすくなります。その結果、身体全体がリラックス状態に傾き、一日中なんとなく眠い状態が続くことも少なくありません。
このような季節特有の眠気を防ぐためには、生活リズムの工夫が大切です。朝起きたらまずカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットしましょう。日光を浴びることで交感神経が活発になり、体が自然と「朝モード」に切り替わります。また、軽いストレッチや深呼吸で血流を促すと、体温が上がり自律神経のバランスが整いやすくなります。さらに、温度差が大きい日は、羽織ものやブランケットを使って体を冷やさない工夫をすることが重要です。お風呂でしっかり温まる、寝る前に温かい飲み物をとるなど、日常の小さなケアでも眠気のコントロールに役立ちます。
食欲の秋も関係あり?食べすぎで眠くなることも

「食欲の秋」という言葉があるように、この季節は美味しいものがたくさんありますよね。新米やサンマ、栗、さつまいも、かぼちゃなど、香り豊かで栄養満点の食材が次々と旬を迎えます。そんな誘惑に負けて、ついつい食べすぎてしまうことで、血糖値が急上昇・急降下し、食後に強い眠気を感じることがあります。これは、体が血糖値を下げようとしてインスリンを多く分泌するために起こる自然な反応なんです。
特に炭水化物や甘いものをたくさん食べると、血糖値が急激に上がり、インスリンが一気に分泌されます。その後、血糖値が急降下する際に脳へのエネルギー供給が一時的に減少し、ぼーっとしたり、強い眠気を感じるようになります。さらに、食べすぎることで胃腸が活発に働き、体が「休息よりも消化を優先」しようとするため、血液が消化器官に集中して脳への血流が減り、眠気を誘うとも言われています。
また、秋は気温が下がることで代謝がやや落ち着く季節でもあります。そんな中でカロリーの高い食事を多く摂ると、体が「エネルギーをため込もう」とする方向に働くため、余計に眠気が強く出ることもあるのです。さらに、脂っこい料理や甘いスイーツを連日食べることで、血糖値の乱高下が続き、慢性的な眠気やだるさを感じるようになる場合もあります。
対策としては、まずは腹八分目を意識すること。お腹いっぱいになる前に食事を終えることで、血糖値の急上昇を防げます。また、よく噛むことで満腹中枢が刺激され、自然と食べすぎを防ぐことができます。食べる順番も大切で、野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べると血糖値の上昇がゆるやかになります。さらに、食後に軽い散歩を取り入れると、消化を助けながら眠気もリセットできます。
秋は旬の食材も豊富で、栄養もたっぷり。でも、食べすぎには注意です。季節の味覚を楽しみながらも、量とバランスを意識することで、食後のだるさや眠気を防ぎ、心地よい秋の時間を過ごせます。
まとめ
秋の眠気は、日照時間の減少・気温差・食生活など、さまざまな要因が重なって起こる自然な体の反応です。だからこそ、朝の光・食事のバランス・生活リズムを整えることが大切です。少し意識を変えるだけで、秋もすっきり気持ちよく過ごせますよ。

